2024年12月23日月曜日

Kさんの家 性能向上リノベ 内側付加断熱と造作キッチン&家具16


 天井下地から作っていく

ここは、天井が一段下がるところ、電気配線なんかもあるのでそれを隠すためと、将来的に点検もできるように下げてあります。


デザイン的にも天井の上げ下げがあると照明の陰影、光の濃淡がつくのでかっこよくなる。
だがしかし、断熱材を施工する視点からいうと凹凸があるとやりにくい。
でもそこは頑張って入れていく。デザインと性能を両立したいという気持ち。
立ち上がりの部分は壁ととらえて他の壁と同じく、グラスウールを2重に、24センチ厚。


ここも他の天井と同じく3重に43センチ グラスウールを入れる。


壁の内側にに貼ったフィルムは、壁の上で折り曲げて、梁にかかるようにしてテープ貼り。
壁の暖められた空気が天井に逃げて行かないようにするバリアを作る。
断熱やってる界隈の人たちの間に一般的に言われる『気流止め』ってやつ。


壁のような狭い空間の中で温まった空気は上に登ろうとするので、もしここが塞がってなかったら、空気は煙突効果で上に逃げていく。壁の中で『気流』が発生する。空気が上に逃げると、いろんな小さい隙間から寒い空気を引っ張ってくる。
これを止めるための壁の上のバリアは大事。見栄えはいいのでがっつりテープを貼って効果を出すことのほうが大事。


丸太梁より上に天井を作っていく


梁を出すために天井は上がるけど、断熱材を入れる空間45センチは確保したいので、その厚み分は確保した上で天井を作っていく。
できるだけ丸太梁を見せたいので天井は高く、でも断熱材をできるだけ入れたいのでそうすると天井は最低ラインが決まってくる。


梁をできるだけ出しつつ、断熱材を入れる空間の厚みを確保すると自然と斜めの勾配天井と一番上の水平天井の形になってくる。


断熱性の向上とデザインの両立のちょうどいいところのラインを出すと自ずと天井ラインはこうなってくるのです。


同じアングルのパース。
大工さんすみません。丸太梁を勾配天井でかわしていくのは非常に大変ですが、絶対かっこよくなるのでお付き合いお願いします。


部屋の角に斜めに取り付けられている火打ってやつを斜めの勾配天井でかわしていく下地。
斜めになっているものを斜めに交差させるって複雑なことをやってくれる大工さんに感謝。

下地の上に通気くんてやつが見えると思いますが、断熱材を入れたその上に


前回取り付けた穴あきの板から換気された空気が通る道をに通過層というスペースを確保するためのもの。


下地ができてきたところで

断熱材を入れていく


大工さん天井断熱に埋まっております。



天井裏は断熱材の海。
こちらも三重に、43センチ入れていきます。


もこもこの海。

防湿気密フィルムを張り、石膏ボードで押さえる



断熱材が入ったところで防湿フィルムを張って、壁と同じく防湿層を作り、その上からボードを張って気密もとっていく。


気密フィルムと丸太が交わるところにスキマができるだけないように、気密テープを貼り貼り。
その上で石膏ボードを張っていくのですが、これが大工さん泣かせの勾配天井と丸太梁の取り合い。


とはいえ、やり直しほぼ無しで一発で決めていく大工さん。やばいな。


きれいに丸太梁をかわして張ってくれました。

私が断熱入れてフィルム張って、追っかけで大工さんが石膏ボードを張っていくので、すいません、ちょっと私、グラスウール片付いてなくて。


石膏ボードを張られたことにより2つの丸太梁がさらに強調されました。
2階の天井が出来上がったところで、一旦足場を外してみます。

と、一階に降りてみて吹き抜けを見上げる。

!!


なんだこの解放感!
材料が吹き抜けにかかってるので、写真ではわかりにくいですが、実際に見るとこれだけの開放感のある吹き抜けはあんまり見たことない!


かっこいい。


2本の丸太梁もきれいにあらわになりました。


大工さんと石膏ボード張りを集中してやってたので、ようやく張り終えたあとで俯瞰してみて、一旦落ち着いて改めて見たら、2人で、なんかやばくないですかって。
そんな一瞬も建築の醍醐味。

Kさんの要望で、当初計画より上げた天井。
お客様が同じようにやばいねって思ってくれたらそれはもう1番の建築の醍醐味。

2024年12月16日月曜日

Kさんの家 性能向上リノベ 内側付加断熱と造作キッチン&家具15

魅力的な梁をあらわしたい


天井解体後、出てきたきれいな丸太梁。
工事前に天井裏に上がって調査した時に、すでに発見しておりましたが、いざ解体してあらわになるとぜひ生かしていきたい。とKさん。
私も同じ気持ち。


ちなみにこれが我が家の天井。娘が見てる。
勾配天井にて丸太梁が勾配なりにあらわしになっている。
梁を出すことにより梁の上にほこりがたまるデメリットがあるにも関わらず、それを補って余りある梁の存在感とかっこよさに、今もあらわしにして良かったなと思うし、大工さんに感謝してる。

もう、Kさんちも梁出すしかないね。


これが当初提案のパース。


これが天井を通常の天井高2.4メートルより上げて、勾配天井と水平天井を絡めて梁を出した図。
やっぱりいいね。

天井を作る前に


天井が上がるということは、それに合わせて壁も高くなります。
ということで、断熱範囲も高くなるので断熱材も天井や合わせて高くまで入れていきます。

とその前に見つけた箇所を処理。

工事中に見つけた部分を手直ししていきます


断熱材を入れる前に壁の上部を見てみると、

外の白壁の裏。
小屋束と板の間にコーキングがしてある。


むむ、コーキングが劣化して隙間できている。
スキマから外の光が見えるな。
ここから雨漏りでもあったからコーキングしたのだろうか?


建てた当初からコーキングしたのか、雨が入ってくるから後でやったのか。後でやったのであれば屋根裏に潜って大変な作業だったろうな、と想像したりして。

よくわからないけどいずれにしろ隙間はふさがなきゃね。
雨が入るのも良くないし、すきま風が入るのも防がなきゃならないし。


工事後は壁と天井で見えなくなるところなので、今のうちにコーキングのやり直し。さわれなくなる場所だから見栄えはいいので、厚めに処理。
スキマをなくしていきます。
工事後に見えなくなる部分は今のうちにできることをやって行くのです。

もう一つ見つけた部分の処理



屋根の下地の先端部分。
面戸という部分。ふさがっているところもあれば、


面戸が取れて、外が見えてるところもある。
こんなに穴が空いてるとコウモリなんかは簡単に屋根裏に入ってきてしまう。


もう面戸は取ってしまう。


で、代わりに穴あきの板を張る。
こうするとこでコウモリは入ってこない。
屋根裏空間は、湿気を逃すために換気が必要。
穴あきの板にしておけば換気になる。

ちなみに今は瓦屋根なので湿気が逃げやすいけど、将来的に板金に張り替えるなんてこともあるかもしれない。
板金の場合は、ガルバリウム板で屋根を覆うので瓦より湿気を溜め込みやすい。その時湿気がしっかり換気によって逃げるように、今しかできないことを念の為やっておく。


壁に断熱材を入れたら、壁の内側に防湿と気密のためにシートを貼る。


壁の中に湿気を入れないようにする。
あと、気密をとってスキマをなくして、室内のあったかい空気が逃げないようにという意味もある。


前回のブログ。断熱材を入れる前に外側にシートを貼ったわけですが、そこに断熱材を入れた上で、内側にシートを貼ることで、断熱材をサンドイッチして、壁の中の空気が動かないようにすることでグラスウールの性能を十分に発揮できるようにする。


そしてそのシートの上から石膏ボードを貼って、シートをおさえつけて気密化していく。


ちなみにこれがグラスウールの袋。
これが使用する全てではないですよ。
この袋のケースを45ケースくらい使います。
新築住宅の2倍以上使います。


壁の準備ができたので、ようやく天井を作っていきます!

2024年12月8日日曜日

Kさんの家 性能向上リノベ 内側付加断熱と造作キッチン&家具14

壁を内側にふかす


奥の壁、シートを貼った上で内側に壁をふかしています。
建築用語でふかすとは仕上げ面を前面に出すことを言うようで、『付加す』と書くそう。


こんな感じ。
12センチの壁の内側にもう一層12センチの壁を作って内側に壁を追加、いわゆる付加していく。


外に面する壁は全て内側に壁を『付加す』。
これで通常の壁の厚みプラス、内側に二層目の壁を作り倍の厚みを増すことになります。

壁の内側に付加した壁に断熱材を入れる
これが内側付加断熱



1.シートを貼って外のスキマをふさいだ様子。
内側に壁が付加されて厚くなっている。


2.一枚目の断熱材、厚み12センチを入れる。
斜めの筋交にはそれに沿って入れていく。また、元から横に走って取り付けてある貫という木材なんかの裏側にも入れていく。
そのため断熱材を切断して入れやすくしながらみっちり入れていく。


3.付加された壁に二枚目の断熱材12センチを入れて合計厚み24センチになった様子。切りながら入れてますが、最終的に隙間なく断熱材が入っていることが大事。
新築住宅では10.5センチ厚というところも多いので、24センチ厚は倍以上の断熱の性能。かなり異次元。


そんな感じで外に面する壁は二重に断熱材を入れていく。
内側にもう一つ壁を作って断熱材を付加していく、これが内側付加断熱!

できるだけ、冬は外の冷気を断つように、夏は暖気を断つように。
リノベで、長岡トップクラスの冬の暖かさを。夏の涼しさを。

どんな断熱材が良いか、悪いかは断熱材それぞれ
メリットデメリットを踏まえた上で選択


断熱材はどれがいいか悪いか論争ってのがあるのですが、何がいいのか私の中では最終決着しております。

ちなみに壁に入れている断熱材は、グラスウールという断熱材。
性能は0.038。

数値が低い方が断熱性能がいいとして


床で使ったこの断熱材、スタイロエースⅡは0.028。
性能はグラスウールより1.35倍高いけど、価格は性能以上に高い。同じ体積で換算すると価格は数倍。


価格は高いけどスタイロエースⅡには、いいところがあります。
床は床下からの湿気を防ぎたいので湿気を通しにくい、このスタイロエースⅡを使いたい。
それと下地が四角いので、スタイロエースⅡを四角く切ってきっちり隙間なく大工さんに入れてもらえる。
だから床はスタイロエースⅡ。


でも壁はやっぱりグラスウール。

斜めの筋交だとか、貫だとか、いろんな障害物があり、綿状のグラスウールの方が壁の中に入れるには、施工性が良い。
施工性が良いっていうのは大工さんがやりやすい。
やりやすいっていうのはつまり工事費が安くなる。


とはいえ、今回断熱材を入れるのは私の役割。
本来現場監督の大工ではない私でも、グラスウールは切って入れることができる。スキマなく入れるために、扱いやすいということ。
施工性がいい、これはグラスウールのメリット。

グラスウールのデメリットは湿気に弱いこと。
だから湿気にさらされないように


内側にフィルムを張る。
グラスウールの入っている壁の中に湿気が入らないようにします。
こうしてデメリットを解消する。

断熱材にもネオマフォームとかミラフォームとかセルロースとか、吹付の発砲系のアクアフォームだとか色々種類があります。
ただ、うちの会社は断熱材はこれ使ってるからすごいでしょ?っていうものでもないし、そもそもしっかりとした厚みがなければどんな断熱材でも、効果は発揮できません。

だから工夫次第で厚みがとれて、施工性が良くて、価格が比較して安くなるのであれば、なんでもいいのです。
ということで、私は上記で話したような断熱材を使用してます。

断熱材の種類で勝負するのではなく、本質的には住んだ後のお客様の快適性がどうかが重要なわけですからね。

次回は、天井を作っていきます!