2025年4月12日土曜日

Kさんの家 性能向上リノベ 内側付加断熱と造作キッチン&家具 31 まとめ6

 Kさんの家 性能向上リノベ 内側付加断熱と造作キッチン&家具 まとめ6


2階に行ってみよう


階段を上ってみる。
こういう下からのアングルで写真を撮るとまた良い。


吹き抜けが開放的。
2階の窓からも1階に光が入ってくる。
直接光でなくとも、白い壁に反射した間接光が、全体を明るくする。

明るいけど、実はこのリビング、南を向いていません。

南側の窓の事



我が家近くの長岡の田舎住宅って、家の向きと間取りがかなり似ています。

冬の西からくる強風を避けるために、玄関は東側にある。
で、南側の光よりも東の朝日を大事にしていたようで、縁側とお客さんを招き入れる客間は東に窓がある。

自分たちが普段いるリビングやキッチンは、南ではなく、東~北~西に窓がある。
あまり南からの光を採ることを重要視していない。
むしろ避けているようです。

リビングが南にある農家住宅はほぼ見たことがない。
南にはほとんど窓はないし、南には窓がまったくない家も結構ある。
南には窓がないから床の間や仏壇があるという造り。

世間的には南側に窓があれば明るいし人気になりがち。
マンションも南向きの住戸は価格を高くする傾向がある。
建築士の試験でも何も言われなければリビングは南に持ってくる。

学校も南側に大きく窓を取る。生徒は右利きが多いから、鉛筆を持つ手が影にならないように、南の窓は左側にあって、左側から光を照らすようにしてあるらしい。
私の通っていた小中高、全ての学校がこれに当てはまる。

明るさにまつわる話なら、窓は南側が正解なのでしょう。

ただ冷房のない時代に作られた田舎住宅は南側の光を嫌っていたのかもしれない。そういう作りをしている。

そして昨今の夏の異常な暑さ。
暑さを避けるために、南に設けた窓の光を室内に入れないようにするために、すだれやシェードをつけることを推奨される。また軒の深い屋根や、窓の上に霧除けを設置することもいい。


そんなに暑くなるなら、じゃあ窓は南につけなくていいんじゃね?


Kさんちのリビングは南に窓がない。
でも吹き抜けで2階から落ちてくる光は直接光でなくとも、南側の光でなくとも、十分明るい。
照明を点けなくても南に窓がなくても明るくすることができる、良い例。

南に窓を付けることによって、冬の日差しを入れて暖かくしようと断熱界隈の偉い人たちは言うけれど、みんな東京含め太平洋側に拠点のある人が多いように思う。太平洋側の冬は、まあ晴れてばっかり。そんな気候の地域なら冬の日差しを入れたら暖房がなくても、高断熱住宅ならば暖かくなるんですけど。

日本海側の冬の晴れ間なんて、ほんのちょっとですよ。
特に新潟の中でも長岡や中越地方は冬は雪空。雪が降ってるか曇ってるかって気候。
日射の暖かさを享受できる日なんて、数えても両手で納まってしまうくらい。

長岡に住んでいると、ほんとに窓を南に持ってくることの意味って何なんだろうと一旦考えてしまう私。

今後温暖化で、普通に40℃越えしてくる夏が来るかもしれない。
日本でもまさかの50℃を超えてくるかもしれない。
そしてもしかしたら、家の南側信仰は終わりを迎えて、『窓は南側に作らないこと』っていう時代が来るかもね。

その時代その時代で考え方が変わって当然。

何が言いたいかっていうと、もしかしたら今の常識が、時代が変われば、意味のないことになってしまうかもしれないから、私自身、柔軟性をもって、もしこの家に自分が住んだら20年後どう思うだろうなんて、立場を自分ごとにして考えて提案していきたいなと思っているのです。

あと偉い人たちが言ってることも、それは偉い人が自身の立ち位置で発している意見であって、私が立っている位置では、同じことにならないかもしれない。
世間一般で信じられていることは尊重して、いいとこはマネして、でも自分の立ち位置ではすべてを鵜呑みにすることなく、自分なりにかみ砕いた上で、やっていきたいですね。

戻りまして




と、Kさんちに戻りまして

吹き抜け周りはぐるっと一周できる。
こども達の遊び場。
だからKさんの希望もあり、手すりには落下防止でこの後ネットを張りました。


迫力のある梁。かっこいいな。


家の中の程よい明るさと、窓の外の青空が気持ちいい。


1月下旬。真冬でしたが、この日は日差しが差して、そのおかげで暖かくて明るい。


向こうに見える縦格子の裏は寝室。
見えるようで見えないくらいの縦格子。
隠すようで、軽く遮る格子。


下から見るとベッドとか寝ている姿は見えません。
せっかく出した大きな梁や高い天井を完全に見えなくしたくないので、柔らかく遮るくらいの縦格子。


ここが寝室。


夜はこんな感じ。


写真では全部照明がついているけど、寝るときは間接照明だけつければ、いい雰囲気になります。


こども達はぐるぐる回って楽しそう。


大体KさんのLDKをぐるっと回りました。

施工事例掲載してます


港建設のホームページに施工事例として掲載してあります。

弊社、モデルルームはないので、ホームページ上に写真をたくさん掲載します。
その他
・YOUTUBEにルームツアーとしてアップしてあります
・同じアングルから撮ったビフォーアフター写真 もあります

是非ご覧ください。

港建設ホームページ 施工事例

⇒Kさんの家 性能向上リノベ 内側付加断熱と造作キッチン&家具






2025年4月10日木曜日

Kさんの家 性能向上リノベ 内側付加断熱と造作キッチン&家具 30 まとめ5 キッチンの事

 

 Kさんの家 性能向上リノベ 内側付加断熱と造作キッチン&家具 まとめ5


キッチンの事 続き



キッチンから立ってリビングの方を見た様子。


レンジフードも少しだけ高さを高くして、リビング方面への視界を遮らないように、Kさんに実際立って見てもらって工事中に位置決めをしました。
キッチンに立ちながら、リビングの向こうや、吹き抜けの方まで見渡せる。


キッチン脇のパントリー。
木造建築の規定寸法である、柱と柱の間の910㎜という廊下幅と同じ寸法にすると、実際の内側の寸法は76㎝ほどの幅になる。これだと棚が来てその前を通ると狭くて通りにくいので、15㎝ほど広げてやると内側で91㎝以上ある。
少し通路を広げるだけで全然パントリーが使いやすくなる。

棚の奥行はあんまりあると、奥にあるものが見えにくくなり結局片付かないので、奥行は25㎝くらいにして、一目で何がどこにあるかわかるくらいの奥行にしてあります。

突き当りの壁の格子の向こう側には脱衣場があり、LDKの暖かい空気が脱衣にも流れたらいいなというもの。
暖かい空気が向こう側に行ってくれれば暖かいと思うけど、実際どのくらい効果があるか今後も様子を見ていこう。


階段上がって上から見るとこんな感じ。


ぐるっと回れるアイランドキッチン。


リビング側よりキッチンを1段下げてあるから


キッチンに立っている人と、カウンターテーブルに座っている人の目線の高さが同じくらいになって話しやすいバーカウンター。


いろんな写真を撮るけど、どこをとってもいい感じなるなあ。




木のキッチンは、素材を生かした空間によく合う。



カウンターもキッチンの面材に合わせてナラの無垢板。


とりあえず表面はオイル仕上げをしただけだけど、目の細かい紙やすりなんかでこすると、すごく表面が滑らかになって手触りがよくなる。
あと、毎日使い続けると、お皿や食器類がそのやすりの代わりの役目なんかになって、つるつるになっていく。
ナラの木のカウンター。使いながら育てていってください。


これが当初提案していたキッチンのCG。


とてもかっこいいキッチンになったかなと思います。
緑の壁が、白い壁と木によく似合う。






2025年3月15日土曜日

Kさんの家 性能向上リノベ 内側付加断熱と造作キッチン&家具 29 まとめ4 キッチンの事

 Kさんの家 性能向上リノベ 内側付加断熱と造作キッチン&家具 まとめ4


キッチンの事



私が作った造作キッチン。

キッチン・カウンターテーブル・カップボード 共にナラ材で統一しました。

どうやったら使いやすいか、どうしたらかっこいいか。自分もキッチンに立つ人間として、自分の家のキッチンの使い勝手と対比しながらよりいいものをと考えました。

オリジナルのキッチンと家具を、断熱リノベと絡めて統一感のある空間として提案できるのが、港建設の強み。


完成後、奥さんがキッチンに立ち、ここで私どもも一杯頂きましたが、いやあ居心地が良い。

リビングのほうは吹き抜けていて天井がない空間ですが、対してこちらのキッチンはしっかり天井のある空間。

リビングの吹き抜け空間のような開放的なものでなく、キッチンは天井を作ることで、ちょうどいい閉鎖性をつくり、リビングスペースと対照的にしてあります。
壁の色も緑にして、キッチンスペースとして区切り、リビングスペースよりも逆に少し閉鎖的にすることで落ち着ける場所にしてあります。

天井がなくて広く見えるところと、天井があって少し狭く見えるところの対比があった方が、お互いが生きるってことですね。
また木のしつらえが、いっそう安らげる雰囲気になるのでしょう。


キッチンとカップボード。


キッチンには食洗器。


リンナイのフロントオープン。


フロントオープンとはこういう事。
日本のメーカーでフロントオープンは少ない。
リンナイのフロントオープンが価格もお手頃だったのでチョイス。


これはうちのパナソニックの食洗器。
こういう一般的な箱型の食洗器は上から食器を入れる。
2段になっていて、上の方から茶碗なんかを入れちゃうと、あとから下の段に入れるのが大変。
はじめに大きな皿や鍋なんかを下段に入れたのち、上に小さい食器類を入れるっていう、順番を最初から予定して入れないといけない。

だけど、すべての食事が終わってから食洗器に放り込むのではなく、ご飯が終わった食器から順に片づけたりするので、大きなものを最初から下に入れられるわけじゃない。
鍋なんかは、お代わりした後、一番最後に空になったりするので、最初に入れることはあまりない。


フロントオープンであれば、上段も下段も別々に引き出せるから、食器の入れ方を順番にすることを考えなくていい。
大きいものから先に入れないと全部入らないという、箱型食洗器にありがちなパズル的要素から解放される。


食洗器も電化製品なので、壊れることもある。
日本のメーカーは部品供給を10年くらいにしてあったりして、10年超えて壊れると修理がなかなか効かない。
壊れても部品がないからどうしようもない。

であれば、私は電化製品は消耗品ととらえて、10年で壊れることも想定してお手頃な価格で選んだ方がいいという考え方。
海外製品は高い分20年も部品供給があったりするけど、私は日本のメーカーで10年目安で買い替える前提で考えてます。

ちなみに、リンナイのこのフロントオープンタイプは海外製のものの価格の1/3とか1/4の価格かなと思います。


食洗器があるといえど、手洗いしないわけじゃないし、手洗いしたときは水切があると便利なので、シンクにはこちらも付けておきました。


食洗器とカップボードの距離感がこんな感じ。
食洗機をオープンした時にカップボードの引き出しがすぐそこにある。
食洗器で洗った食器を対面のカップボードの引き出しにダイレクトにしまいやすい距離感。


引き出しの底面は、汚れたとしてもふき取りやすいように白いポリ板にしてあります。


ゆっくり閉まるソフトクローズ機構。


一番下は高さ35㎝くらいあるから、縦置きスタンドを使えば、大きめのお皿を立てて収納できる。
背のある醬油や油なんかも収納できる。

真ん中の引き出しが高さ20センチくらい。一番上が15センチくらい。


右下は開き扉。

普段使いするものは、見えやすくて出しやすい引き出しがいい。
開き扉の収納は、少し大きめのもので、普段あまり使わないけど、たまに使うようなものを収納するにはいいかなと思います。


上の吊戸棚。
一枚板を4分割したのできっちりナラの木目がそろってます。


右は扉のない見せる収納として。
可動棚になってます。棚の高さを変えられます。


左の扉がついている方も、中は可動棚。

この吊戸棚の下に、炊飯器・電気ポット・電子レンジが来る。
蒸気を出すこれらの器具の真上に木の板があると、その木の表面が水蒸気でただれちゃう。
そうならないように、吊戸棚の一番下の板は白いポリ板で、蒸気が当たっても大丈夫にしてあります。
ふき取りやすいし。


キッチンの方も一番下は高さ35㎝くらいあるから、こちらには奥様ご希望の縦置きスタンドでフライパンを縦置きできるくらいの収納力にしてあります。


キッチンはすべて引き出しにして、日常的に使うものを見やすく、整理整頓しやすく。


IHの左は調味料入れ。
塩とかコショウとか。


金具はステンレスのシンプルなものに。


我が家ではこんな感じで


取手となる部分を彫り込んでみたけど、苦労して作った割にそこまで使い勝手は良くない。
金物みたいに扉面より出っ張らないっていいとこもあるけど。


これも我が家。こんな加工をして取手を付けたところもある。

これも悪くはない、けど金物を使った方がシンプルでいい。
それと、実際金物の方がなんだかんだで、手をかけやすいしつまみやすいから、使いやすい。

我が家はいろんなことをして、実際使ってみて、何がいいのか悪いのか、やってみよう!という実験場。


個人的好みもあるのだろうけど、今のところ最終的にステンの金物が使いやすいし、どんな色の木材にも合うし、少し高級感が出るような気がするし、良い!と結論。



まとめ5につづく。